- 本書の概要
- 著者プロフィール
それゆえ、オフィスワーカーにも応用できるスキル・ノウハウとしてまとめられているのが本書の特長となっている。オフィスワークというと、どうしても「情報」の整理に目を向けがちですが、物理的なモノの整理も非常に重要だ。なぜなら本書でも説明されている通り、モノを持つことはあらゆる「コスト」につながるからである。
本書においては、整理整頓の本当の意義から具体的な手法までがわかりやすく解説され、「片づけ」についてあまり意識したことがない方から、すでに何冊か「片づけ本」を読んでいる、というような方まで参考にできる内容となっている。また、「ムダは宝の山」「モノを持つことはコスト」「人を責めるな仕組みを責めろ」など、トヨタの名言も多く掲載しており、仕事や職場の効率アップに直接役立つ内容となっている。
2002年4月、トヨタ自動車とリクルートグループによって設立。トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者が「トレーナー」となり、トヨタのノウハウを活かしたOJT(On the Job Training)により、強い現場づくりを支援するコンサルティングサービスを提供。主な書籍に10万部突破の『トヨタの口ぐせ』『トヨタの上司』『トヨタの育て方』(共に中経出版)などがある。
CHAPTER2 ムダを減らすトヨタの「整理術」
CHAPTER3 仕事を効率化させるトヨタの「整頓術」
CHAPTER4 トヨタ流片づけが「習慣化」する方法
要約ダイジェスト
ムダという宝を探せ
片づけができていない職場ほどムダが多く、効率が悪い。片づけができていない人ほど、作業のムダが発生し、十分な成果を出せていない。 これは、多くのトヨタマンが、長年の実体験から自信を持って言えることだ。片づけをしないと、おもに次のような4つのムダが発生する。
①:スペースのムダ 「どこかにモノを置く」ということは、必ず場所が必要になる。倉庫費用やスペースは、無料ではない。モノを放置していれば、コストはどんどん膨らみ続ける。
②:時間のムダ さまざまなモノが混在していると、本当に必要なものを探し出すのに時間がかかる。どこにどんな部品が置いてあるかが明確になっていないと、「その作業は担当者しかできない」という事態が起こる。
③:間違えるムダ ものづくりの現場では、片づけがされていないと、間違った部品を使ってしまうリスクがあり、品質不良やクレームなど大きな問題につながりかねない。
④:とりに行くムダ 頻繁に使用するものであるにもかかわらず、遠くに置いてあれば、それだけ時間をムダにする。とりに行く時間は価値を生み出さない。
このように、ムダは利益を生まないばかりか、どんどん利益を侵食する。片づけをすれば、こうしたムダを確実に取り除き、利益に変えることができる。 このような視点から、利益に変えられるムダという「宝」が眠っていないか、デスクや職場を見回してみてほしい。
片づけは雑務ではなく、「仕事そのもの」である
トヨタには「何事も5S から」という考え方がある。これがトヨタの片づけの習慣を支えている屋台骨となる。 5Sとは、職場環境を維持・改善するうえで用いられるスローガンで、