『ハーバードでいちばん人気の国・日本』
(佐藤智恵/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 ハーバード大学経営大学院はいわずとしれた世界最高峰のビジネススクールであり、各国のリーダーやCEOの母校として、また次世代の政財界のリーダーが集うことでも知られている。いま、そんなハーバードの学生や教授陣から「日本」が注目されているという。

 それは、彼らが明治維新や敗戦、東日本大震災などいくつもの危機を乗り越え、再生し続けてきた日本から学ぶことがまだまだ多いと考えているからだ。むしろ、少子高齢化、長引く不況など、今後世界が経験するであろう「先が見えない世界」にいち早く突入した日本から学ぶことは増えているともいえる。

 本書では、ビジネススクールの授業で取り上げられている日本関連のケース(事例)や教授へのインタビューを通じて、日本のポテンシャルに迫っている。日本発で世界初の先物市場、復活の兆しを見せる日本の経済施策、リーダーシップや職業倫理にまで影響を与える日本のオペレーションシステム…これらは日本にいると見落としがちな事例である。

 一読すれば、確かに日本人自身も悲観論を超え、日本が達成してきたことや、海外が日本をどう見ているかを知る必要があると理解できるだろう。本書は日本ならではの価値やミッションに気づき、日本の未来を描くための材料だ。欧米発の新自由主義的思想が限界を迎えているといわれるいまだからこそ、ぜひご一読いただきたい。

著者:佐藤智恵(サトウ チエ)
 1970年兵庫県生まれ。92年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組などを制作する。2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、12年作家・コンサルタントとして独立。著書に『外資系の流儀』(新潮新書)『世界最高MBAの授業』(東洋経済新報社)『世界のエリートの「失敗力」』(PHPビジネス新書)ほか多数。近年はテレビ番組のコメンテーターも務める。
序 章 なぜハーバードはいま日本に学ぶのか
第1章 オペレーション―世界が絶賛した奇跡のマネジメント
第2章 歴史 最古の国に金融と起業の本質を学ぶ
第3章 政治・経済 「東洋の奇跡」はなぜ起きたのか
第4章 戦略・マーケティング 日本を代表する製造業からIT企業まで
第5章 リーダーシップ 日本人リーダーのすごさに世界が驚いた
終 章 日本人が気づかない「日本の強み」を自覚せよ

要約ダイジェスト

なぜハーバードはいま日本に学ぶのか

 ハーバード大学、特にハーバード大学経営大学院(以下ハーバード)は、数多くのリーダーを輩出してきた世界最高峰の教育機関だ。著者が現地の留学生から聞いて驚いたのが、そんなハーバードの学生に、いま日本がいちばん人気のある国であり、研修ではこぞって日本を訪れることだ。

 また、近年では教員のあいだでも、日本を再評価する機運が高まっているという。なぜハーバードの教員も学生も、

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