『トヨタのカタ 驚異の業績を支える思考と行動のルーティン』
(マイク・ローザー/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 武術におけるカタ(型)は、それを学ぶことで攻撃や防御などの基本動作を身に付けられる有用なものだ。また、仕事の段取りや交渉の進め方などに、自分なりの型や勝ちパターン、ルーティン(決められた一連の動作)があるという方も多いだろう。本書は「トヨタ生産方式」を支えるそうした基本動作、すなわちカタを明らかにした一冊だ。

 「ジャストインタイム」「カイゼン(改善)」「なぜ5回」など、トヨタ独自のツールや原則に関する情報はあふれているが、それらを取り入れても、効果が薄かったり、一時的な成功にとどまったりすることも多い。しかも導入し終えた頃には、トヨタはさらに進化した手法を取り入れていたりする。著者によれば、その要因こそがカタである。

 本書で解説されるトヨタのカタとは、それらのツールを機能させる前提となり、改善し続ける組織をつくるためのものだ。本書では、現場レベルから戦略レベルまで適用される「改善のカタ」、そのカタを組織に浸透させる「コーチングのカタ」を取り上げ、それらと一体となったトヨタのビジョンや他組織への応用も含め、余すところなく解説する。

 著者は長年にわたり欧米企業にトヨタ生産方式の導入を指導してきた人物。長期的に圧倒的な差別化を生み出したい経営者はもちろん、マネジメントや生産性改善、日本型イノベーションに興味関心がある方には多くの示唆があるはずだ。ぜひご一読いただきたい。

著者:マイク・ローザー(Mike Rother)
 リーン生産方式のコンサルタント。ドルトムントエ科大学客員研究員。長年、トヨタ生産システムを研究。現在はアメリカとドイツを往復してコンサルタント業務に従事している。共著に『トヨタ生産方式にもとづく「モノ」と「情報」の流れ図で現場の見方を変えよう!!』(日刊工業新聞社)。

翻訳:稲垣公夫(イナガキ キミオ)
 グローバリング代表取締役、ゴールシステムズコンサルティング顧問。東京大学工学部卒業、ミシガン大学大学院修了。NECで生産システム開発、生産改善活動推進業務、NECアメリカの経営企画を担当。その後、米系EMS企業日本法人を経て現職。著書に『TOC革命』『EMS戦略』『開発戦略は「意思決定」を遅らせろ!』、共著に『トヨタ式A3プロセスで製品開発』など。訳書に『ザ・トヨタウェイ上・下』『トヨタ危機の教訓』『トヨタ製品開発システム』『トヨタ経営大全1 人材開発上・下』など。

序章 リーダーシップとマネジメントの理解を変革する
第1部 現状
 第1章 長期にわたって成功している会社の特徴は何か?
第2部 己を知れ
 第2章 工程改善にどう取り組んでいるか?
 第3章 トヨタの事業哲学と全体の方向性を考える
 第4章 現在の経営アプローチの起源とその影響
第3部 カイゼンのカタ―トヨタはどう継続的に改善するのか
 第5章 計画―ターゲット状態を設定する
 第6章 問題解決と適応―ターゲット状態に向かって進む
第4部 コーチングのカタ―トヨタが改善のカタを教える方法
 第7章 トヨタでは誰が工程改善を行うのか?
 第8章 コーチングのカタ―教師としてのリーダー
第5部 トヨタ以外の会社でどう再現するのか?
 第9章 あなたの会社で改善のカタの行動様式を開発する
付録1 改善のカタはどこから始めるべきか?
付録2 工程分析

要約ダイジェスト

長期にわたって成功している会社の特徴は何か?

 トヨタ流のやり方に関する本や記事は1980年代半ばから登場しはじめた。しかし、いまだトヨタグループ以外でトヨタのように変化に適応し、品質やコスト競争力を系統的、効果的、継続的に改善してきた会社を一社も見つけることはできない。

 組織を長期にわたり成功させたいなら、組織が改善し続け、適応し続け、変化する顧客要求を満たし続けられるような能力を身につけることだ。小さな漸進的ステップを歩むことで、私たちは途中で学び、方向を調整し、めざす場所にいたる道筋を発見することができる。

 技術イノベーションは稀にしか起こらないし、

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