- 本書の概要
- 著者プロフィール
このような、製造業における大きな地殻変動に際し、日本企業が再び浮上するためにはどうすればよいのか?著者の答えは「パッケージ型事業」にある。それは、製造業なら製品の販売だけでなく、製品、保守・運用サービス、人材の育成などを組み合わせ、一気通貫の価値提供を実現するビジネスだ。
日本でもコマツなど、「パッケージ型事業」の成功例が既に出始めている。「パッケージ型事業」では、単に製品やサービスを組み合わせるのではなく、「顧客起点」でより大きなビジョンを描き、ビジネスを再構築する必要がある。本書ではその要件を具体的に明らかにし、コマツ、本田、日立など日本企業を含めた多くの事例を解説する。
日本企業が持つ強みを生かし、日本ならではの「パッケージ型事業」を実現、急成長するアジア市場を制するという主張は、製造業以外の企業戦略を考える方にとっても大きな示唆があるだろう。著者は野村総合研究所 コンサルティング事業本部パートナーとして、製造業のグローバル戦略の第一人者として活躍する人物。
株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部パートナー。1988年に大手メーカーに入社し、重電の営業に従事。その後10年間の米国駐在にて、営業マネジメント、CRMプロジェクト、M&Aプロジェクト、買収後統合、新規事業開発等に従事。2005年に野村総合研究所入社。重電、精密機器、エレクトロニクス、化学、食品、自動車関連製造業等、幅広い製造業でのコンサルティングに従事し2012年より現職。専門はグローバル製造業に対する中期経営計画、事業戦略、M&A戦略立案、買収後の統合戦略、組織構造改革など。
2章 日本の「パッケージ型事業」が持つポテンシャル
3章 「パッケージ型事業」で成功している欧米企業の事例
4章 「パッケージ型事業」で成功している日本企業の事例
5章 日本企業が「パッケージ型事業」で成功するために必要なこと
6章 アジアビジネスで勝ち抜くためのポイント
要約ダイジェスト
求められる製品単独事業から「パッケージ型事業」への発想転換
日本の製造業は戦後から2000年代初旬まで、その品質の高さで、輸出を中心に大きく業績を伸ばしてきた。しかし、デジタル化に伴う製品のコモディティ化や、中国企業の品質面での急速なキャッチアップなどにより、過去のような優位性を保てなくなっている。
日本企業が勝てなくなった理由として考えられるのは、①自前主義の弊害、②顧客への経済的価値や収益獲得モデルを具体化できない、③市場ニーズ把握の仕組みが弱い、