- 本書の概要
- 著者プロフィール
東日本震災以降、「助け合い」「優しい心」が着目を浴びている。それ自体はもちろん問題ないが、一方で稲盛氏は、現在の日本には強い闘争心=燃える闘魂が必要であり、それこそが日本再生のカギとなると説く。経営者やビジネスパーソンの在り方から、日本の再生までを見据えた骨太の内容で、稲盛氏の後進経営者育成および日本経済再生への強い想いが感じられるはずだ。
あらゆる逆境をはねのけ、京セラ、KDDI、日本航空と経営の成果を出し続ける著者だからこそ、強い説得力がある。齢80歳を超えていまなお現役で経営の最前線に立つ稲盛氏の生き方、言葉は、経営者だけでなくすべてのビジネスパーソンにぜひご一読頂きたい内容である。
著者:>著者:稲盛 和夫
1932年、鹿児島市に生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年から名誉会長。84年に第二電電(現KDDI)を設立し会長に就任。01年に最高顧問。10年に日本航空会長に就任。代表取締役会長を経て、13年に名誉会長。若手経営者が集う経営私塾「盛和塾」の塾長としても、経営者の育成に心血を注ぐ。
出版:毎日新聞社
第2章 「燃える闘魂」の経営
第3章 世のため人のため
第4章 徳をもってあたる
第5章 心を変える―日本航空の再建
第6章 日本再生
要約ダイジェスト
日本経済はなぜ衰退したのか
バブルが崩壊してからのち、はや四半世紀近くが過ぎた。過去の繁栄が夢のように思えるほど、景気停滞が長く続いている。わが国のGDP (国内総生産) は、すでに中国に抜かれ世界第三位に転落した。現在の産業界を見渡しても、かつて世界を席巻していたはずの日本のエレクトロニクス企業が膨大な赤字に呻吟している。
近隣諸国の隆盛に比べるなら、近年の日本の経済、産業の低迷ぶりがあまりに際立ち、社会全体の閉塞感も気になる。なぜ、このような逆転が起こったのか。私は、心の在りようの違いではなかろうかと考えている。思い返せば、日本はかつて第二次世界大戦の敗戦により、国土は焦土と化し、産業基盤や社会基盤のほとんどが灰儘に帰した。
しかし、日本人はそのような悲惨な状況のなかにあっても、希望を失うことはなかった。