- 本書の概要
- 著者プロフィール
2016年1月の日銀「マイナス金利」の導入決定後、日経平均が乱高下するなど、市場は混乱状態にある。その狙いは何か、今後どのような影響が現れるのか、先んじてマイナス金利を導入していたヨーロッパでは何が起こったのか、そうした疑問に答え、日銀マイナス金利導入を予期するかのように昨年末に出版されたのが本書である。
そもそも、一般人には国債の金利がマイナスになるという現象が理解しづらい。そこで本書では、債券市場分析の第一人者である著者が、プロの投資家同士の取引においてしばしば現れていたというマイナス金利の概念から、消費者生活に及ぼす影響までをわかりやすく解説している。
著者によれば、マイナス金利の原因は、アベノミクスにおける「異次元の金融緩和」にある。円の過剰供給が日本国債の価値を下げてしまうのだ。そして、政府がハイパーインフレや国債暴落ではなく、マイナス金利で実質債務を減らし、将来世代に財政負担を先送りする、すなわち日本がいわば「衰弱死」してしまう未来予想図が描かれる。
このために著者が提言するのが、低成長時代に即した政策の実現だ。それは、資本主義における「成長」という概念の再考が必要な国民一人ひとりの問題でもある。その意味で、本書は金融に携わる方だけでなく、日本経済を担う全てのビジネスパーソンに必読の一冊といえるだろう。
著者:徳勝 礼子(トクカツ レイコ)
BNPパリバ証券債券調査部レラティブ・バリュー・アナリスト。1986年東京大学経済学部卒、1991年米シカゴ大学MBA(統計)。英モルガン・グレンフェル(現ドイツ証券)をはじめとしてソロモン・ブラザーズ・アジア証券(現シティグループ証券)、ドイツ証券などに勤務し、マーケット業務にリサーチ側から従事。2005~07年はバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック)においてポートフォリオ・マネージャーも務めた。2014年から現職。CFA協会認定証券アナリスト。
BNPパリバ証券債券調査部レラティブ・バリュー・アナリスト。1986年東京大学経済学部卒、1991年米シカゴ大学MBA(統計)。英モルガン・グレンフェル(現ドイツ証券)をはじめとしてソロモン・ブラザーズ・アジア証券(現シティグループ証券)、ドイツ証券などに勤務し、マーケット業務にリサーチ側から従事。2005~07年はバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック)においてポートフォリオ・マネージャーも務めた。2014年から現職。CFA協会認定証券アナリスト。
序章 マイナス金利からの警告
第1章 なぜ世界的にマイナス金利が発生しているのか
第2章 マイナス金利の序盤戦である金利低下
第3章 マイナス金利の世界へようこそ
第4章 密かに進む金融・経済の浸蝕
第5章 ジャパン・プレミアムが映す日本経済
終章 マイナス金利とマイナス成長の循環は避けられるか?
第1章 なぜ世界的にマイナス金利が発生しているのか
第2章 マイナス金利の序盤戦である金利低下
第3章 マイナス金利の世界へようこそ
第4章 密かに進む金融・経済の浸蝕
第5章 ジャパン・プレミアムが映す日本経済
終章 マイナス金利とマイナス成長の循環は避けられるか?
要約ダイジェスト
強制的にマイナス金利を導入した欧州の中央銀行
円のマイナス金利は実はここ数年、発生の度合いを強めている。大半の場合、その発生を知るのは取引の当事者や一部の金融関係者に限られ、一般の投資家には見ることができない。しかし、日本のマイナス金利は、日本経済に対する重大な示唆を含んでいる。
「マイナス金利」という見出しが頻繁にメディアで見られるようになったのは2014年半ばごろからである。きっかけは、
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