- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者によれば、職場でのコミュニケーションが上手な人たちは、相手との「距離感」の取り方がうまいという共通点がある。すなわち「押しつけ」(距離が近すぎる)や、納得していないのに「服従」する(距離が遠すぎる)ことなく、自分の意見を嫌味なく伝え、かつ断るべきことはきちんと断るという絶妙な距離感を保っているのだ。
こうした適切なコミュニケーションを行うためには、「課題の分離」「相互尊敬・相互信頼」「人と行為の分離」といったアドラー心理学の原理原則が役立つ。本書ではアドラーの思想、哲学はもちろん、それらを具体的なスキルとして体系化した高弟たちの教え、さらに著者のエピソードも踏まえて具体的なスキルが数多く解説されている。
著者は大企業の中間管理職、公開前後のベンチャー企業役員、中小企業の創業オーナー社長なを経て、アドラー派の心理カウンセラー、組織人事コンサルタントとして活躍する人物。アドラーに初めて触れる方はもちろん、アドラーの考え方をビジネスに応用したい読者はぜひご一読頂きたい。アドラー心理学の奥深さとその実践性に驚かされるはずだ。
組織人事コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラー。株式会社小倉広事務所代表取締役。一般社団法人日本コンセンサスビルディング協会代表理事。一般社団法人人間塾代表理事。日経ビジネスセミナー講師、SMBCコンサルティング講師。大学卒業後リクルート入社。事業企画室、編集部、組織人事コンサルティング室など企画畑を中心に11年半を過ごす。その後ソースネクスト(現東証一部上場)常務取締役、コンサルティング会社代表取締役などを経て現職。
プロローグ コミュニケーション上手は距離感上手
第1章 適切な距離感を実現する7つの思考改革
第2章 「相互尊敬」「相互信頼」を築くスキル
第3章 「押しつけ」と「世話焼き」をせずに伝えるスキル
第4章 「服従」と「回避」をせずに伝えるスキル
おわりに
要約ダイジェスト
注目を集める「対人関係の心理学」
アドラーは「人生の課題は、すべて対人関係の課題であり、それ以外の課題を知らない」と述べ「対人関係論」を唱えた。その意味では、職場でのコミュニケーションのあり方を学ぶにあたって、アドラー心理学は打ってつけだと言えるだろう。
「職場の悩みごとに関するアンケート調査」(第一生命経済研究所,2008)によれば、男性の72.9%、女性の78.5%が「職場の人間関係で悩んだことがある」と答えている。一方で、職場を見渡してみると、