『これからのマーケティングに役立つ、サービス・デザイン入門』
(J・マルゴス・クラール/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 ビジネスにおける「顧客目線」の重要性は昔から説かれているが、特に近年、製品自体の品質や機能での差別化が難しくなり、購入検討から使用に至るサービス全体のカスタマー・エクスペリエンス(顧客経験価値)の重要性が注目されている。この点にこだわり、熱狂的カスタマーを多数生み出すアップル社製品はその代表例だといえるだろう。

 本書はそんな「ビジネスを顧客視点から体系的に編成する取り組み」である「サービス・デザイン」の考え方、手法を解説した一冊だ。「カスタマー・ジャーニー・マップ」など、顧客経験価値を理解し、改善していくプロセスがコンパクトにまとめられ、製造業からウェブサービスまで、業界を問わず役立つ内容となっている。
 
 また、こうした作業から得られた洞察は、マーケティングのみならず、組織や戦略にも大きな影響を与える。本書では「顧客目線」から離れ、凋落していったノキアの事例なども詳しく紹介され、サービス・デザインの実践が、実はサービスのみならず、組織全体を「顧客目線」に変える取り組みであることが理解できるはずだ。

 著者はサービス・デザインのパイオニア的企業の創設者として、多くのブランドや企業活動の改善を手掛けてきた人物。日本語版監修はService Design Network日本支部共同代表、National Chapter Boardとして同分野の第一線で活躍する長谷川敦士氏が務めている。商品・サービス設計担当者や、顧客目線強化を願う経営層はぜひご一読頂きたい。

著者:J・マルゴス・クラール(J.Margus Klaar)
 1992年から広告マーケティング業界でキャリアを重ね、平均的な製品の見栄えを整えるばかりの仕事に疑問を抱く。顧客ロイヤルティを獲得するためには、製品やサービスの中身を磨かなければならないと考え、2009年、3人のパートナーと共にサービス・デザインとブランディングのコンサルタント会社、ブランド・マニュアル(Brand Manual)社を創設。
 以来サービス・デザインのパイオニアとして、数多くのブランドや企業活動の改善に貢献。製品やサービスの見た目だけでなく、中身をより良いものにすることが、同社の目標。本書執筆時の著者の年齢は43歳で、家族と共にスウェーデンのストックホルムで暮らす。

監修:長谷川 敦士
 株式会社コンセント代表取締役、インフォメーションアーキテクト。1973年山形県生まれ。2000年より「理解のデザイナー」インフォメーションアーキテクトとして活動を始める。2002年コンセント設立、代表を務め、デザインの方法論を活用して事業開発を行うサービスデザインを探求・実践。Service Design Network日本支部共同代表およびNational Chapter Board、人間中心設計推進機構(HCD‐Net)副理事長、IA Association Japan主宰、IA Institute会員。学術博士(Ph.D)。

翻訳:郷司陽子

日本語版刊行によせて 長谷川敦士
序章
・なぜ(why)?
・サービス・デザインとは何か
・なぜこのプロセスをデザインと呼ぶのか?
カスタマー・ジャーニー
・要求は決して「もの」ではない
・仮説の検証
・顧客接点(タッチポイント)
この種の課題への組織的な取り組み
・責任者は誰か
巻末付録
・ツール
解説 大崎優

要約ダイジェスト

サービス・デザインとは何か?

 サービス・デザインとは、ビジネスを顧客の視点から体系的に編成する取り組みだ。その目的は、企業と顧客のインタラクションのあらゆる局面において、快適なカスタマー・エクスペリエンス(顧客経験価値。商品やサービスを購入したり使用したりする経験によって得られる感覚的、感情的な付加価値)を提供することにある。

 今や、どの航空会社の飛行機も、

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