『欧州解体』
(ロジャー・ブートル/著)

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  • 目次
 ギリシャの債務危機・ユーロ離脱問題、移民・難民問題、スコットランドのイギリスからの独立を問う住民投票など、近年EU(欧州連合)と国家をめぐる議論が噴出している。そうした中、EUは「歴史的役割を終えたのではないか」と囁かれることさえある。では、そもそもEUは何を目指し、何が問題になっているのだろうか。

 本書では、冷戦の脅威に対抗するため創設されたというEUの歴史的起源から、好調なドイツ、世界が注目する大国イギリスの動向や欧州各国の思惑などを分析、機能不全に陥っているというEUの政治・経済施策も踏まえ、全方位的にEUの現在と未来を描く。

 著者によれば、EU経済圏の置かれた状況は深刻で、日本が経験したような長期的デフレの危険性もある。しかし、複雑に絡み合った制度やイデオロギーにより、EUによる自浄作用は期待できないという。そこで著者は「欧州解体」への道、特に南北ユ―ロ圏分断の可能性とシミュレーションまでを提示している。

 著者は『デフレの恐怖』が世界的ベストセラーとなり、ブラウン政権下で経済アドバイザーも務めた著名エコノミストであるロジャー・ブートル氏。データを踏まえ、骨太な経済分析を下敷きにしながら、英国政府の動向にも詳しく言及している。日本やアジアにも大きな影響を与えるEU経済圏への動向をアップデートできる、必読の一冊だ。

著者:ロジャー・ブートル(Roger Bootle)
 英国シティのNo.1エコノミストのひとり。1999年にロンドンに設立された欧州最大の経済調査会社「キャピタル・エコノミクス」創業者兼経営者。ベストセラーになった『デフレの恐怖』(邦訳、東洋経済新報社)でデフレ時代の到来をいち早く予測した。ブラウン政権では、独立経済アドバイザーとなる。下院財務委員会の顧問も務め、保守党政権が選出した「ワイズ・メン」のひとりでもある。
 テレビやラジオ出演のほか、デイリー・テレグラフ紙に定期的にコラムを執筆。「コメント・アワード2012」で経済分野の年間最優秀コメンテーター選出。2012年7月 キャピタル・エコノミクスのチームと共に「ウォルフソン経済学賞」を受賞。オックスフォード大学出身。

翻訳:町田 敦夫 (マチダ アツオ)
 翻訳家。『20世紀最高の経済学者 ケインズ 投資の教訓』『金持ちは税率70%でもいい VS みんな10%課税がいい』(東洋経済新報社)、『背番号10のファンタジスタ』(ベースボール・マガジン社)、『目で見る脳の働き』(さ・え・ら書房)などの訳書を出す一方、『ナショナルジオグラフィック日本版』『フォーブス ジャパン』などで雑誌記事を翻訳。映像メディアの翻訳も多い。

プロローグ ヨーロッパの混迷
第1部 EUの起源と現在の目的
 1章 EUはいかにして、またなぜ創設されたのか
 2章 政治制度としてのEUが抱える問題点
第2部 EUの経済学
 3章 EUは経済的に成功したのか?
 4章 単一通貨ユーロが抱えるトラブル
 5章 経済的惨事を避けるための政策
 6章 欧州経済に未来はあるのか
第3部 改革か、解体か、はたまた離脱か
 7章 EUは進んで改革に取り組むことができるのか?
 8章 大胆な改革を強いるものは何か?
 9章 EU離脱のコストと利益
 10章 EUの代わりとなりうる協定
エピローグ 贈り物をせがむギリシャにご用心

要約ダイジェスト

ヨーロッパの混迷

 欧州連合(EU)発足時の目的や現下の関係性は、EUを完全な政治同盟へと向かわせている。すなわち、さらなる権限強化と、統合の深化への道だ。だが、現在のEUは次のようないくつかの重要な欠陥を抱えており、

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