『コンサルは会社の害毒である』
(中村和己/著)

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 日本おけるビジネスコンサルティングの市場規模は0.3兆円未満といわれ、6~10兆円規模を誇る米国市場の約10分の1(対GDP比)に過ぎない。しかも、ここ15年ほど市場は横這いだという。多数のコンサル関連本が発売されているように、世間からの関心は非常に高いにもかかわらず、日本における経営コンサルに対する需要はあまり大きくないのだ。

 それはなぜか?著者はファクトに基づきコンサル業界そのものを分析、この理由をひもといていく。その過程で米国型企業と日本企業の本質的な違いや、コンサル技法の危険性が明らかにされるが、MECEにおける単純化、戦略における「新自由主義、商業主義」バイアスなど、事業戦略立案や実行に携わる方への示唆に富んだ内容となっている。

 著者はJT、某大手外資系戦略コンサルティング会社などを経て、現在はコンサルティングではなく、あくまで調査・分析を専門とする企業を設立した人物。本書は「コンサルには、買うほどの価値がない」「コンサルは勝手に問題を解いた気になって帰ってゆく」など、コンサル出身者ならではの刺激的な発言に満ちているが、趣旨は至極真っ当だ。

 戦略コンサルティング従事者はもちろん、コンサルタントに発注する企業側の経営者、企画・戦略担当者など、コンサル擁護派、アンチ・コンサル派どちらの方にもぜひご一読頂きたい一冊だ。社員の成長や企業経営、「共同体経営」とされる日本企業における戦略の意味は何かなど、改めて考えさせられるはずである。

著者:中村 和己(ナカムラ カズミ)
 1995年、東京工業大学を卒業後、新規事業の創造を求めて日本たばこ産業株式会社に入社。仙台たばこ工場にて原価削減調査に従事した後、株式会社バーガーキング・ジャパン立ち上げに参画し、国立大学との共同設備開発、機器の買い付け/輸入、FCライセンサーとの交渉に尽力。さらに飲料事業部にてM&Aを想定した自販機販路収益化をファイナンス面から検討し、営業改善施策立案および実行に取り組む。
 2000年、大手外資コンサルティング会社に転職し、事業戦略に関するコンサルティングに従事。数多くの幅広い産業において大手企業の戦略立案に関与。在職中に手掛けた電力会社のオール電化住宅に関する普及戦略は大きな成功を収め、事後、米国イェール大学MBAが用いる事例になった。03年、中村事業企画を設立。低予算で実施出来る高品質の戦略立案/ファクト分析サービスを独自に開発し、多数の大手企業/ベンチャー企業に提供している。
はじめに 産業の進化に追いつけなかった経営コンサル
第一章 コンサルは、その対価に見合わない
第二章 ミーシーは、物事を単純化する危険思想である
第三章 コンサルタントに、意思決定を求めてはいけない
第四章 コンサルタントは筆記具。考えるために社員がいる
おわりに 「戦略」は最良の「業務指示書」である

要約ダイジェスト

コンサルは、その対価に見合わない

 経営コンサル業の付加価値を説明すると、大きく分けて4つある。その主商品は「①分析と仮説」である。分析を行い、仮説を構築した後に、コンサルは「②見える化」などと呼ばれる事象の構造化を行う。

 コンサルの書籍をみると、これでもかと言うくらいこの記述スキルについて力説していることが多いが、実務上、それが素晴らしいからといって大した効果はない。実際、

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