『クラフトビール革命』
(スティーブ・ヒンディ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 近年、日本でも人気を博している「クラフトビール」。その多種多様な味わいや、個性豊かなブルワリー(醸造家、ビール会社)のスタイルに魅了されている読者も多いのではないだろうか。そんなクラフトビール文化の本場であり、いまや2,500軒以上のブルワリーを超える隆盛を見せているのがアメリカである。

 本書はアメリカで起こった「クラフトビール革命」を詳しく伝えるビジネス・ドキュメンタリーだ。大手ビール会社へのささやかな抵抗から始まった潮流はやがて大手も無視できないものとなり、現在ではアメリカのビール市場の10%を占め、世界中に飛び火している。しかしここまでの道のりには、50年近い苦闘の歴史があったという。

 それはマスプロダクト化したビールの生産、流通、広告などを一つ一つ小規模事業者の手に取り戻していく作業だったとも言える。その意味で、本書で振り返るクラフトビールのビジネス史は、業界大手やルールに立ち向かう立場の方にとっても、既存事業を新勢力から守る立場にいる方にも示唆に富む内容だ。

 著者は北米で人気を誇るクラフトビール会社「ブルックリン・ブルワリー」の創業者で、元AP通信の記者というユニークな経歴の持ち主。豊富な取材と筆力で、パイオニアたちの苦労やイノベーション、大手企業との戦いや仲間割れなど、様々なビジネス課題を乗り越える業界の姿を余さず描き、クラフトビール革命の内側に迫っている。

著者:スティーブ・ヒンディ(Steve Hindy)
 元ジャーナリストで、ブルックリン・ブルーワリー共同創業者。1970年代、AP通信記者時代の楽しみは、原稿締め切り後のビール。78年、中東特派員として赴任し、イスラム国家での「締め切り後のビール1杯」は特ダネより難しいことを知る。そこで「買えないのなら作って飲もう」と、ホームブルーイング(自家醸造ビール)を始める。
 84年に米ニューヨークに戻ると、記事を書くことより、ホップ・麦の割合を合わせることにより大きな喜びを感じている自分に気づき、通信社を退社。86年、小さなビール醸造場を設立。今日の米クラフトビール市場で10位内に入る、ブルックリン・ブルワリーが誕生した。ブルックリン・ブルワリーは現在、ニューヨークの観光名所となり、醸造所のあるブルックリン(ウィリアムズバーグ)界隈もトレンドな地域として、注目を集めている。

翻訳:和田侑子(ワダ ユウコ)
 早稲田大学社会科学部卒。書籍編集者を経て翻訳者に。訳書に『おいしいセルビー』(グラフィック社)、『マリメッコのすべて』(DU
BOOKS)、『世界のシティ・ガイド CITI×60』(パイインターナショナル)など。ほかに雑誌『料理通信』ウェブ版の記事翻訳も手がける。

序文 世界のビールを変えた小さな醸造所たち
プロローグ 巨大な多国籍企業に挑んだ、ローカル、小規模、コミュニティによる革命
第1章 ビールづくりに人生を捧げた開拓者たち
第2章 ビール・オブ・カード 革命の階段 ─政治、ジャーナリズム、指導者、コミュニティ
第3章 ブームとビール戦争のはじまり ─泡と消えないためにやったこと
第4章 ブルックリン・ブルワリーの創業とブルーパブ起業
第5章 生き残るには小さなままでいること ―クラフトビールと巨大資本
第6章 第ニ世代のイノベーション ―新しいエクストリームな創造
第7章 もう広告にお金をかけなくてもいい? ―メディアとローカル・カルチャー
第8章 理不尽なシステムを解決する唯一の方法 ―ロビー活動、政治の必要性
第9章 流通革命 ― 卸売業者がビール業界を変えた
第10章 利害の対立をどうクリアしていくのか?
第11章 フリースタイルの第三世代 ─さまざまな新しいビジネスモデルの誕生
解説 ブルックリンカルチャーの根底にあるもの ─木内酒造合資会社 取締役 木内敏之

要約ダイジェスト

巨大な多国籍企業に挑んだ、ローカル、小規模、コミュニティによる革命

 ホームブルワー(自家醸造家)と夢想家の有象無象からスタートしたクラフトビールも、今では米国ビール業界の10%を占めるセグメントへと進化。数十年にわたり、ビール業界で最も活気あるジャンルとして存在し続け、クラフトビール革命を全世界に伝播させた。

 ビールは地元を象徴する、地域に根差したビジネスであり、

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