『無敵の経営』
(北川八郎/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 企業経営の世界では戦略、競合、ターゲット(標的)など、戦争や戦場での理論や用語が多く使われている。しかし、本書のタイトルにもなっている「無敵」とは、歯向かう敵を圧倒的に打ち倒して「向かうところ敵無し」の状態ではない。それは、味方を増やし、そもそも敵を作らない境地を目指す「無敵」である。

 甘い考えだと思われる方もいるかもしれない。しかし、実際に従業員や顧客、地域の支持を受け、競合や大企業と異なる土俵で繁栄する企業は数多く存在する。また、怒りや競争を元にしたマネジメントより、安心感や信頼のなかでこそ、クリエイティブで自由な発想や企画が生まれた経験がある方も多いのではないだろうか。

 本書では、感謝と信用を基本とする「無敵」の思想、あえて効率を度外視することで大企業が真似できない「少し損をする経営」、さらには心身の健康の重要性など、全人格的な生き方の指南書ともいえる内容である。それゆえ経営者はもちろん、日々仕事や顧客と向き合うビジネスパーソンにとっても大きな気づきが得られる一冊だ。

 著者はカネボウ化粧品を経て、インド放浪や過酷な断食を行うなど「人として生きる意味」を追求。現在は陶芸家として「七陶三農」の生活を送りながら、対立と競争を超えた人生訓を教える経営塾を主催し、多くの経営者からメンターとして慕われる人物。

著者:北川八郎(きたがわ・はちろう)
 1944年生まれ、福岡県出身。阿蘇山中の南小国町満願寺温泉にて満願寺窯を設立。自然灰釉の器を創って生きる陶芸家。防衛大学中退後、カネボウ化粧品(株)に入社。社員教育を担当する。銀座本社に勤務している時期に会社の正義と社会の正義の狭間で苦悩。人として生きている意味を見失う。
 32歳で退社後、インドを放浪。1984年、信州より九州は阿蘇外輪山の小国郷に移住。41歳のときに黒川温泉にある平の台水源の森で41日間の断食(水のみ)を実行する。43歳のときには46日間の断食(水のみ)に導かれて、人としての小さな光明を得る。
 平凡な一人として平和感と安らぎの内に自然の中で暮らしていくために「七陶三農」の生活を送っている。著書は『あなたを苦から救う お釈迦さまのことば』『あなたを不安から救ってくれる お釈迦さまのことば』『幸せマイルール 心に清音をもたらす言葉集』『対人苦の解決 明るい未来へ』『三日食べなくても大丈夫!! 断食のすすめ』『人間経営学の実践 経営を繁栄軌道に乗せた十一名の社長告白』(以上、高木書房)、『ブッダのことば「百言百話」』『繁栄の法則』(以上、致知出版社)、『心の講話集 6冊セット』(楽心会)ほか多数。
はじめに
第一章 「無敵の経営」に生きる
第二章 敵をつくらない心
第三章 人間経済学のすすめ―新しい時代に必要な心と生き方
メッセージ 生きていくためのルール
おわりに 感謝こそが経営の基本

要約ダイジェスト

「無敵の経営」に生きる

戦って勝ち抜くことでは繁栄しない

 時代の変化に気づき、「戦わない無敵の経営法」に目覚めた若い人々が事業でも成功し始めている。こうした経営者たちは、経済の原点が「人々に安らぎと平和、穏やかな毎日をもたらすことが目的である」と気づきつつある人だ。

 「無敵」には、戦って勝ち抜く「敵がいない無敵」と、戦わずして人々に好意を持ち、

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