『プロフェッショナル シンキング』
(大前研一/監修、宇田左近、平野敦士カール、菅野誠二/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 前例がない時代といわれて久しい現代においても、未来を見据えて大胆な投資を行ったり、果敢に新たな市場の創造に挑む経営者やリーダーは存在する。では、彼らには未来がどのように映っており、どうすればこのような「未来を見通す力」を身に付けることができるのだろうか。

 本書では、そうした「未来を見通す思考力」を養い、ビジネスに活かす考え方を、大前研一氏が主催するビジネス・ブレイクスルー(BBT)大学の講師陣が解説している。まず前提となるのは、組織のお作法などによる「思考逃避」を断ち切ることだという。健全な批判精神があってはじめて現状を正確に把握できるのだ。

 そして、市場の変化や顧客の未来を考えるために、時代の「波」を見る方法、「アナロジー思考」や「プラットフォーム戦略」、「6C分析」によるアプローチなど、単なるフレームワークの解説にとどまらない「使える」思考が網羅されている。これらは「未来を予測」し、あるいは「未来を創り出す」思考法として、企画や戦略の背骨となるはずだ。

 また、各章に読者への「問い」があり、「自分ならどうするか」の思考を促すつくりも特徴である。いま起きている、答えがまだない課題を扱いながら思考訓練を繰り返すというBBT大学の思考のエッセンスが凝縮された一冊であり、未来の組織や事業戦略を考える立場にある方、考える必要がある方に役立つヒントが詰まっている。

監修:大前 研一
 ビジネス・ブレークスルー大学学長。1943年福岡県生。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年にマッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍する傍ら、活発な提言を続けている。
 1998年4月に株式会社ビジネス・ブレークスルー(BBT)創業、2005年12月に東京証券取引所マザーズ市場上場。2005年4月にビジネス・ブレークスルー大学院大学開学、2010年4月に経営学部新設。2013年10月にアオバジャパン・インターナショナルスクールをBBTの子会社化し、1歳から幼・小・中・高までのインターナショナルスクールの教育及び経営に携わり、日本の将来を担うグローバル人材育成に力を注いでいる。

著者:宇田 左近
 ビジネス・ブレークスルー大学経営学部長。株式会社ビジネス・ブレークスルー取締役、株式会社荏原製作所取締役、原子力損害賠償・廃炉等支援機構参与(東京電力調達委員会委員長)、公益財団法人日米医学医療交流財団理事。東京大学工学部建築学科卒業、同工学系研究科修士課程修了(工学修士)。シカゴ大学経営大学院修了(MBA)。マッキンゼー・アンド・カンパニー等を経て現職。
 インフラ系企業および金融機関の企業変革・組織改革に従事。また医療機関における医療経営革新を継続的に支援。東京電力福島原子力発電所事故調査委員会調査統括等を歴任。

著者:平野 敦士 カール
 ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授。株式会社ネットストラテジー代表取締役社長、社団法人プラットフォーム戦略協会理事長。東京大学経済学部卒業。日本興業銀行、NTTドコモiモード企画部担当部長を経て現職。上場企業を中心にアドバイザーを務める一方、経営コンサルタント養成講座の運営や国内外での講演多数。早稲田大学ビジネススクールMBA非常勤講師、ハーバード・ビジネス・スクール招待講師等を歴任。

著者:菅野 誠二
 ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授。ボナ・ヴィータ代表取締役社長、日本経団連グリーンフォーラム講師、名古屋商科大学Weekend MBA客員教授。早稲田大学法学部卒業。スイスIMD経営学大学院修了(MBA)。ネスレ日本、マッキンゼー・アンド・カンパニー等を経て現職。マーケティング戦略、経営戦略の立案と実行に対するコンサルティングやマーケター育成のプログラムを行っている。

編者:ビジネス・ブレークスルー大学
 「キャリア教育推進特区」認定の株式会社立大学として文部科学省の認可を受け、日本初のオンライン大学として2005年に開学(当時は「BBT大学院大学」)。2010年には経営学部が設置され、学士・修士ともに授与可能な教育機関として、最先端の教育を学生に提供している。
 2010年4月に設置された経営学部は日本初の100%オンラインで経営学学士を取得できる大学。経営と同時に大前研一が学長を務め、”teach(教える)”ではなく学生が主体的に”learn(学ぶ)”するのを手助けすることに大学の役割があるという考え方に基づいて設計されたカリキュラムでグローバル時代を生き抜く力の育成を目指している。2014年3月に1期生が卒業。2014年10月にはe-Learning大賞「厚生労働大臣賞」を受賞。http://bbt.ac/

第1章 準備運動——「思考逃避」のもたらす危機
第2章 思考逃避がもたらす固定観念を打破する
第3章 大局観を持つ——市場の未来を見通す思考力1
第4章 ある程度予測できる未来を読む——市場の未来を見通す思考力2
第5章 新しい未来を創り出す——市場の未来を見通す思考力3
第6章 事業構造と顧客交点アプローチ——顧客の未来と未来の顧客を見通す思考力1
第7章 時間軸と顧客交点アプローチ——顧客の未来と未来の顧客を見通す思考力2
第8章 顧客個人の内面と外部交点アプローチ——顧客の未来と未来の顧客を見通す思考力3
第9章 未知の問題解決に挑戦するための集団IQ

要約ダイジェスト

市場の未来を見通す思考力

大局観を持つ

 21世紀はまぎれもなく「答えのない時代」である。この先どうなるのか未来を見通し、その未来が望ましいものでないなら、違う未来を創り出す。そうすることでしか「答えのない時代」に、正しい方向に進むことはできない。

 世の中の動きを観察する際には、世の中全体の大きな「流れ」や「うねり」を見出すことが重要だ。よく「歴史は繰り返す」と言われるが、注意したいのは、

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