『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』
(佐宗 邦威/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 「デザイン思考」は、まったく新しい事業、商品やサービスプロセス等を創る「創造的問題解決の方法」として、現在では世界のMBAスクールでもこぞって教えられているという。なぜなら、先進国企業各社は既存のビジネスの革新や新規事業創出が緊急課題であり、大胆なアイデアを構想し、実現するための手法が必要となっているからだ。

 ただし、多くの文系出身者にとって「デザイン」はとっつきにくい分野でもある。そこで、本書ではP&Gのマーケターという、論理思考型キャリアを持つ著者が、米国デザイン教育の最先端であるイリノイ工科大学デザインスクールへの留学やソニーでの新規事業創出を経て体得したデザイン思考を、基本からわかりやすく解説する。

 一読すれば、デザイン思考の特徴であるビジュアルでのインプットや発想のジャンプ、何度も行きつ戻りつしながらアイデアを具現化していくプロセスは、不確定要素が多い状況で0→1をつくりだす最適な手法だとわかるはずだ。実際のデザインスクールの授業内容や、実践のヒントが豊富なビジュアルとともに多数紹介され、きわめて実践的な内容となっている。

 また、創造性を発揮するためのツールや環境づくり、デザイン×ビジネスのキャリアステップ、著者自身の思考の変遷への言及もあり、ビジネス畑出身で、新たな企画やアイデア、事業や組織をデザインする立場にある方にとっては、「デザイン思考」への興味の有無にかかわらず大いに役立つ一冊である。

著者:佐宗 邦威(サソウ クニタケ)
 biotope(株)代表取締役社長兼チーフイノベーションプロデューサー。イリノイ工科大学デザイン学科修士課程(Master of Design Methods)修了。東京大学法学部卒業後、P&G 入社。ファブリーズ、レノアを手がけ、ジレットのブランドマネジャーをつとめた。(株)ヒューマンバリューを経て、ソニー(株)デザインセンターにて全社の新規事業創出プログラム(Sony Seed Acceleration Program)の立ち上げなどに携わった後、独立。
 技術シーズの新規事業化や新規事業立ち上げなど、共創型イノベーションプロジェクトのファシリテーション、プロデュースを得意としている。留学中のブログ【Design School 留学記ビジネスとデザインの交差点】はwww.facebook.com/DesignSchoolLife
chapter.0 21世紀型教育の先進国アメリカ
chapter.1 デザイナーから学ふハイブリッド知的生産術
chapter.2 作り手魂の学校
chapter.3 創造的問題解決の羅針盤
chapter.4 創造モードへのスイッチ
chapter.5 デザインというビジネスキャリア
chapter.6 デザイン思考は幸せに生きるためのライフスキル

要約ダイジェスト

デザイナーから学ぶ ハイブリッド知的生産術

 いま米国のMBAトップスクールに通う人たちの間で人気が高まっている授業に、「デザイン」がある。これには、世界中の企業が大きな変革を求められ、既存のビジネス立て直しだけでなく、新規事業を創り出す動きがより盛んになっているという背景がある。

 私は「デザイン思考」教育の老舗イリノイ工科大学デザインスクール(ID)を修了したが、

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