『選択と捨象—「会社の寿命10年」時代の企業進化論』
(冨山和彦/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 「選択と捨象(しゃしょう)」とは、単に「集中」するだけでなく、選ばなかった事業や機能を「捨てる」ことを意味する。産業再生機構を経て経営共創基盤(IGPI)CEOとして企業再生、コンサルティングの現場に携わり続ける著者 冨山和彦氏は、タイトル通り、選ぶことより「捨てる」ことの方が断然重要であると説く。

 本書では、JAL、カネボウ、三井鉱山、ダイエー、鬼怒川温泉などの実例を取り上げながら、再生のカギとなった「捨てる決断」が描かれている。それらの企業の多くは、共同体である会社組織の存続が自己目的化してしまった結果、経営危機に陥った。しかし、重要なのは「会社はあくまで『事業』をやるための箱に過ぎない」という考え方だという。

 これは、人口減と労働力不足が進む日本では、生産性の悪い企業には退出を促すべきだというある意味ドライな論理だが、一読すれば「捨てる決断」、およびそれができるリーダーこそ今後の日本に必要不可欠なことがわかるだろう。そして日本企業、特に地方の中堅中小企業に、まだ大きな「伸びしろ」があることにも気づかされるはずだ。

 共同体の論理と経済合理性の両立は、経営者ならずとも、組織に属する限り考え続けなければならない命題である。本書ではほかにも「合理と情理」「G型とL型」「高等教育の二山構造」など重要コンセプトが頻出し、部外者として破綻寸前企業を再生するという厳しい立場でのリアルな内容と併せて、今後の日本を担うビジネスパーソン必読の一冊だ。

著者:冨山和彦(トヤマ カズヒコ)
 経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。1960年生まれ。1985年、東京大学法学部卒。在学中に司法試験合格。1992年、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、2003年の産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、2007年、IGPを設立。現在、オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役。経済同友会副代表幹事、財務省・財政投融資に関する基本問題検討会委員、内閣府・税制調査会特別委員、文部科学省・国立大学法人評価委員会「官民イノベーションプログラム部会」委員、経済産業省・「稼ぐ力」創出研究会委員などを務める
はじめに 会社の平均寿命が短くなることは善か悪か?
序 章 栄枯盛衰は企業の宿命
第1章 会社がつぶれると、なぜ雇用が生まれるのか
第2章 「企業」がなくなっても、「事業」はなくならない
第3章 「偉大なる創業者」がいる会社が安泰とは限らない
第4章 継続すべき事業かどうかは「市場」が決める
第5章 地方企業の再生から学ぶ――労働力が不足している「地方」には未来がある
第6章 会社も、人も、進化し続けるものだけが生き残る
おわりに 「捨てる力」が経済も個人も豊かにする時代

要約ダイジェスト

企業が存続する理由は事業にある

 人口減少に直面し、低成長が当たり前になった日本で、つぶれる大きな会社は今後も増えていくだろう。どんなに大きな会社であっても必ず寿命が来る。それが当たり前であることを前提にトップは経営し、働き手も備えなければならない。

 日本の企業の年間創業率と廃業率はいずれも4%前後。欧米企業はいずれもだいたい10%である。欧米では会社の寿命は平均10年、

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