『名物・金庫番が解き明かす 3つの近未来』
(領内修/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 今後日本は、東京オリンピックを経て、長期的な成長軌道を描けるか否かの重要な局面に入る。そのとき、企業や社会はどのように変化しているのか。そんな5~10年後の「近未来」を3つの観点から読み解いたのが本書だ。未来予測には人口動態や、テクノロジー、経済など様々な変数があるが、本書では「金融」「デジタル社会」「組織」に着目する。

 著者は元バンカーとして国内外の現場を熟知し、現在SCREENホールディングス副会長を務める人物。CFOとしてリーマンショックを果敢に乗り切り、米金融雑誌で精密機械部門「ベストCFO」にも選出されている。「金融」「デジタル社会」「組織」を長年見つめてきた著者によれば、大きな変化や変革の波は確実に押し寄せてきているという。

 リーマンショック以上の危険性を秘めた世界の金融市場、現実を補完し始めた「仮想現実」、未来の組織像が、初音ミクやビットコインなどを題材にわかりやすく描かれている。近い将来に起こることがわかれば、成功確立はあがり、危機をチャンスに変えることもできる。それゆえ、先行き不透明な時代こそ「近未来」を予測する力が必要である。

 様々なジャンルに造詣が深い著者の見立ては、そのための恰好の材料となるだろう。特に中長期で企業や事業の方向性を示さなければならない経営幹部の方々に、大きな示唆があるはずだ。また、特に著者の専門である金融危機の実態やリーマンショックの解説は、金融論が苦手な方にもわかりやすい。その意味でもぜひご一読頂きたい一冊である。

著者:領内 修(リョウナイ オサム)
 1931年生まれ。早稲田大学卒業後、旧東京銀行に入行。84年米国子会社に勤務。日系企業の米国不動産投資や米国中東部地区への工場進出等にかかわり、米国金融や経済動向を実体験し、90年帰国。旧東京三菱銀行で理事公共法人部長を最後に、2004年大日本スクリーン(現 SCREENホールディングス)に転籍。2008年のリーマンショック時に、最高財務責任者(CFO)として尽力。2014年米国の金融誌「インスティテューショナル・インベスター」でベストCFOに選出。
 経営者の会合や大学院などからの講演依頼が多く、銀行での融資・与信畑や海外勤務、メーカーでの理財などの経験をもとにした「金融とメーカーの今後の課題」「これから10年の近未来」などのテーマは、非常にわかりやすく役に立つと高い評価を得る。
 個人的には、柔道、旅行、音楽鑑賞、真空管アンプ製作など趣味は多彩でオタク気質。各国各地の料理とワイン・日本酒の情報通であり、グルメである。それを巡る良き仲間との食べ歩きや飲み歩きも多い。
第一部 「リーマン危機」はいまなお続く!
第二部 「仮想現実」が新しい価値を生む!
第三部 ネット時代は「ハチの巣型」に変わる!

要約ダイジェスト

これから10年、大きな変革の波が押し寄せる

 いまから10年ほど前、私は金融マンからメーカーの金庫番=CFO(最高財務責任者)に転じた。IRでアメリカやイギリスなどを訪れ、各国の投資家や金融マン、実業家との情報交換を通じて、リーマンショックの前後から、社会や文化の根底からの「変化の兆し」を感じはじめた。

 私が考えている「近未来」とは、2020年から2025年、つまり、これから5~10年後の未来を念頭に置いている。最近、テレビなどがよくとりあげる30年後の社会とは異なるが、私は、大きく変化する可能性が高い近未来という山に、三つの登山口から登ろうと考えた。

 それは、リーマンショックを題材とした「金融」、

続きを読むには会員登録が必要です。

© 2017 ZENBOOKS,Inc. All Rights Reserved.
要約記事は出版社または著作者から適法に許諾を取得し、作成・掲載しています。本記事の知的所有権は株式会社ゼンブックスに帰属し、本記事を無断で複製、配布、譲渡することは固く禁じます

特集