『世界最高の処世術 菜根譚』
(守屋 洋/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 『菜根譚』は中国・明代末期にに洪自誠(応明)によって書かれ、処世訓の名著、経営者の必読書として多くのビジネスリーダーの座右の書としても挙げられている。菜根(菜っ葉などの粗食)は、かみしめれば味わい深いという故事に由来する書名の通り、短い文章のなかに本質的な人間洞察を見つけることができる中国古典の傑作である。

 そんな菜根譚のエッセンスを、中国古典学の大家である守屋洋氏がわかりやすく解説しているのが本書である。人間的魅力や信頼関係の高め方、組織での身の振り方やバランス感覚など、現代のビジネスパーソンにも通じるアドバイスの数々が掲載されている。それらの智慧は、儒教・道教・仏教の東洋思想に基づき、時には厳しく、時には軽やかに処世の極意を説く。

 洪自誠は、官吏として政権交代期の政治的混乱を生き抜いた苦労人だが、「人に対して期待しすぎない」「何事もやりすぎない」といった教えは、諦めの心境からではない。失敗のあとにこそ成功がある(逆もまた然り)という「循環の思想」によるポジティブなものだ。それゆえ、物事がうまくいっているときにも、そうでないときにも、深く響く言葉を見つけられるはずである。

 本書では漢文と書き下し文、訳文とコメントが掲載され、気に入った項目については、原文を味わうこともできる。年を重ねるほど心に沁みるといわれる書物だが、若くても逆境や閉塞感を抱える読者、組織の軋轢に悩む読者へも時代を超えた普遍性を持っている。確固とした人間観に基づく生き方の教科書として、ぜひご一読頂きたい。

著者:守屋 洋(モリヤ ヒロシ)
 昭和7年、宮城県生まれ。東京都立大学中国文学科修士課程修了。中国古典に精通する第一人者として、著述・講演などで活躍。研究のための学問ではなく、現代社会の中で中国古典の知恵がどう生かされているかを語り、難解になりがちな中国古典をわかりやすく説く。SBI大学院で経営者・リーダー向けに中国古典の講義を続けるなど、広く支持される。
 著書に『菜根譚』(PHP)、『孫子の兵法』(三笠書房)、『中国古典「一日一話」』(三笠書房)、『孫子に学ぶ12章』(角川マガジンズ)、『「貞観政要」のリーダー学』(プレジデント社)など多数
第1章 人間的魅力を身につける
第2章 人の信頼を勝ち取る
第3章 組織でしたたかに生きる
第4章 人付き合いの極意を知る
第5章 逆境を乗り切る
第6章 バランス感覚を磨く
第7章 心豊かに生きる

要約ダイジェスト

菜根譚の魅力

 『菜根譚』は明王朝の万暦年間、今から四百年ほど前にできた本だ。「菜根」とは粗末な食事のことを指し、そういう貧しい生活に耐えて成長した者だけが、将来、大きな仕事を成し遂げることができるという意味を含ませている。

 儒教は身を修め家を斉え、天下国家を治めることを説く「表」の道徳だが、それだけでは息苦しい。それを補ったのが、現世利益を説く道教だった。しかし、儒教も道教もどう生きるかを説くもので、人々の悩める心の救済には関心を示さない。それを補ったのが仏教だ。

 この三つの教えを融合して、人生の知恵や処世の極意を説いているところに、

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