『民主主義の条件』
(砂原庸介/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 気鋭の若手政治学者が「民主主義の仕組み」を基礎から丁寧に解説した一冊。大きくは選挙制度・政党組織・権力分立・選挙管理という4つの視点から、今の政治をどう変えるべきかまでが論じられている。本書で著者は、根強い政治不信の根幹には、有権者の要求が反映されにくい「仕組み」があると指摘する。

 民主主義の基本は「多数決」の原理であり、「多数派のつくり方」こそが政治における重要な営みとなる。そこで本書では、現在の政治で「多数派」が形成されるプロセスを追う。その過程で、読者は日頃ニュースで耳にする、「衆議院と参議院の『ねじれ』」「一票の格差」「政治資金」「地方分権」といった話題の本質を理解することができる。

 そこで着目されているのは、機能不全に陥りかけている「政党」の役割である。著者のメッセージは「政党政治を正しく機能させられれば、政治は選挙で変えられる」というポジティブなものだ。それらが各国の政治制度比較やデータ、政治理論で裏付けられている。

 本書はただの政治用語解説書ではなく、政治を選挙で変えるための実用的な視点と姿勢を教えてくれる。日頃、あまり政治に興味を持てないという方や、政治への「諦め」を感じている方こそご一読頂きたい。民主主義と選挙に参加する価値を再確認し、日本の政治に希望を見出すことができるはずだ。

著者:砂原庸介(スナハラ ヨウスケ)
 大阪大学大学院法学研究科准教授。専門は行政学・地方自治。1978年大阪府生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院総合文化研究科後期博士課程単位取得退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(PD)、大阪市立大学大学院法学研究科准教授を経て現職。著書に『地方政府の民主主義―財政資源の制約と地方政府の政策選択』(有斐閣、日本公共政策学会賞受賞)、『大阪―大都市は国家を超えるか』(中公新書、サントリー学芸賞受賞)などがある。
序章
第1部 選挙制度
 第1章 ダメ、ゼッタイ――罪深き中選挙区制
 第2章 あちらを立てればこちらが立たず―― 多数制と比例制
 第3章 混ぜるなキケン!?――混合制
第2部 政党組織
 第4章 ヒーローなんていらない――政党組織
 第5章 先立つものはカネ――政治資金と政党規制
 第6章 ケンカをやめて――政党内デモクラシー
第3部 権力分立
 第7章 つかず離れず――二院制の役割
 第8章 てんでバラバラ――多様な地方政治
 第9章 時は来た、それだけだ――選挙のタイミング
第4部 選挙管理
 第10章 審判との戦い?―― 選挙管理機関
 第11章 看板に偽りあり――一票の格差と定数不均衡
 第12章 伝わらなければ意味がない――投票環境の整備
選挙制度改革

要約ダイジェスト

民主主義の条件

 最近の日本の政治に納得いかない、という人は多いだろう。しかし政治による決定が多くの人の財産や生活に関係するものであるかぎり、重要なのは、私たちがその決定に納得した上で、それを受け入れるということだ。

 スポーツでは、「納得」して結果を受け入れることができないときに、第三者に判断してもらうということがあるが、民主主義のもとではなかなかそういうことはできない。みんなが平等に政治にかかわることが前提なので、特権的権利を持つ機関を認めないからだ。

 そのため、多くの人が「納得」できないプロセスであれば、

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