『競争しない競争戦略 ―消耗戦から脱する3つの選択』
(山田 英夫/著)

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  • 目次
 「競争戦略」という言葉もあるように、経営戦略においてはいかに競争に勝つかということに目が向きがちである。しかし「孫子」では戦わずして勝つことが最善と説かれ、またポーターの競争戦略論でも、”完全競争から遠い状態”、すなわち”競争しないこと”が企業の収益性を高めることが示唆されている。

 つまり、やみくもに売上やシェアを増やすのではなく「競争しない状態」を作ることで、利益率を高めることができるのだ。そこで本書では、早稲田大学ビジネススクール教授である著者が「競争しない競争戦略」を類型化し、50社以上の企業事例をもとにその本質を探っている。

 生物の生存戦略同様、業界のリーダー企業と競争しないためには「棲み分け」か「共生」が有効となる。具体的には(1)ニッチ戦略、(2)不協和(ジレンマ)戦略、(3)協調戦略という3つの戦略が導かれ、長年高収益を維持し続ける多数の知られざる企業が、詳細なケーススタディとして紹介されている。

 ニッチ戦略に関してだけでも10のバリエーションがあり、大手の参入を防ぎ、意図的にニッチを狙う、とはどういうことかが理解できるはずだ。値下げ競争や横並びの開発競争、競合や大手企業の模倣に悩む実務家に大きなヒントとなるだろう。また、市場のグローバル化が進むなかで、国内トップ企業もグローバル・リーダーの脅威に対抗する必要がある。その意味で、企業規模を問わず経営実務を担う方に必読の一冊である。

著者:山田 英夫(やまだ・ひでお)
 1955年東京都生まれ。81年慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了後、(株)三菱総合研究所入社。大企業のコンサルティングに従事。89年早稲田大学へ移籍し現在に至る。専門は競争戦略論。ビジネスモデル。学術博士(早大)。アステラス製薬(株)、NEC(株)の社外監査役を歴任。
 主著に『異業種に学ぶビジネスモデル』『逆転の競争戦略 第4版』『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』(共著)『なぜ、あの会社は儲かるのか?』(共著)『デファクト・スタンダードの競争戦略 第二版』『経営戦略 新版』(共著)などがある。
第1章 競争しない競争戦略
第2章 ニッチ戦略
第3章 不協和戦略
第4章 協調戦略
終章 薄利の奪い合いからの脱却

要約ダイジェスト

競争しない3つの戦略

 世の中に競争は多い。例えば携帯電話各社は、他社からの乗り換え獲得のためにセット割引やキャッシュバック合戦を繰り返し、ビール・発泡酒・第3のビール分野では、各社が新製品を次々と出し、他社のシェアを奪おうとしている。

 競争には必ず相手がおり、企業が戦略を考えるにあたっては、相手企業が当該企業の戦略にどのように対抗してくるかも予測しなくてはならない。そのとき敵にまわすと一番脅威になるのが、経営資源の質・量ともに最大であるリーダー企業だ。

 経営資源が少ない下位企業に対して、リーダー企業が一番対抗しやすいのが同質化政策(チャレンジャーの差別化戦略に対して、

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