『コンサルティングの極意
—論理や分析を超える「10の力」』
(岸田 雅裕/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 本書は、戦略コンサルティングファームのA.T.カーニー日本代表を勤める岸田雅裕氏が、経営コンサルタントに必要な能力を解説した一冊。著者は東大卒業後パルコ(ファッションビルPARCOを運営)を経てコンサルティング業界に転じた異色のキャリアを持つ。

 「戦略コンサルタント」というと一般的にはロジカルシンキングなどのイメージが強いが、今やそれだけでは差別化できない。著者によれば、コンサルタントには、聞く力、献身力、先見力、巻き込み力、好奇心、歴史観など「10の力」を常に磨いていく必要があるという。

 また、それらの力を鍛えることで、価格競争やコンペに巻き込まれない本当の意味での信頼関係が構築できるという。本書で説かれているのは小手先のテクニックではなく、「幅広く歴史から学ぶ」など、著者がグローバルな仕事をし、様々な経営者と接するなかで得た「プロフェショナル」なビジネスパーソンの土台となる部分である。

 それゆえ、コンサルタントに限らず、多くの関係者と連携して仕事を進める全てのビジネスパーソンにとって、多くのヒントを得られる一冊となっている。また、随所に業界の歴史と未来、赤裸々な内実が描かれ、コンサルタントを目指す方や、コンサルティング業界に携わる方にも必読の一冊と言えるだろう。

著者:岸田 雅裕(キシダ マサヒロ)
A.T. カーニー 日本代表。1961年愛媛県松山市生まれ。東京大学経済学部経営学科卒業。ニューヨーク大学スターンスクールMBA。パルコ、日本総合研究所、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン、ローランド・ベルガー、ブーズ・アンド・カンパニーを経て、2014年より現職。
 80年代中盤はパルコのイベント・プロデューサー、80年代後半から90年代前半は新規事業企画部門で当時インターコンチネンタルホテルを擁していたセゾングループの海外都市再開発プロジェクトを担当。コンサルタントに転じてからは、マーケティング、特にブランドマネジメントについて、消費財メーカーや小売業にとどまらず、自動車メーカーや金融機関などに対する豊富なプロジェクト経験を有する。著書に『マーケティングマインドのみがき方』(東洋経済新報社)がある。
第1章 聞く力―相談されることから仕事は始まる
第2章 献身力―常にクライアントの利益を第一に考える
第3章 先見力―正しい方向にクライアントを導けるか
第4章 突破力―自分の限界を超えるまで考えて考え抜く
第5章 巻き込み力―志とコミュニケーション力で人を動かす
第6章 共創力―共にプロジェクトを創っていく
第7章 好奇心―常に新しいことを学び続ける
第8章 歴史観―歴史ぬきにブランドは語れない
第9章 忘れる力―ストレスは上手にコントロールする
第10章 恋愛力―個人と個人で惹かれ合う関係を築けるか

要約ダイジェスト

コンサルタントには「聞く力」が必要

 しゃべりがうまいとか、パフォーマンスが巧みだという印象から、コンサルタントは話す力が重要だと思われている。しかし、コンサルタントとは自分が正しいことを証明する職業ではなく、最終的には相手がアイデアを実行するところまで行かないと意味がない。

 提案を受け入れてもらおうと思ったら、まずは話す力ではなく、聞く力のほうが重要である。相談されなければ、仕事は始まらないのだ。「聞く」といっても、ただ黙っているのではなく、実りのある会話を重ねて、相談をするに足る人間だと思ってもらわないといけない。

 そのような「聞く力」を養うためには、語彙力を磨くことが重要だ。経営者や経営幹部に、

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