『マクドナルド 失敗の本質-賞味期限切れのビジネスモデル』
(小川 孔輔/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 2011年に過去最高益を達成した外食産業の雄・日本マクドナルドは、その後低迷を続け、使用期限切れ鶏肉の問題もあり、2014年通期連結決算では▲218億円という最終赤字に転落した。

 マクドナルドの経営に何が起こっているのか、本書では創業者 藤田田氏と、改革に乗り出した原田泳幸氏の経営戦略から現在の業績低迷の原因を明らかにする。興味深いのは、両氏が経営を指揮した最後の10年間の売上高推移が、ほぼ同じ曲線を描いているという指摘。

 当初は華々しい成功を収めるものの、どちらも後期で経営危機に陥っているのだ。著者はこの要因として、(1)マーケティングの失敗、(2)サービスのトライアングルの崩壊、(3)画期的なイノベーションの不足、という3点を挙げている。

 これは近年のマクドナルドの低迷が、小手先の対応では対処できるものではないことを示している。著者は小売業や流通業の専門家として10年以上、マクドナルドを研究する法政大学経営大学院教授の小川孔輔氏。

 センセーショナルな内容ではなく、各種データから丁寧に検証され、陳腐化するFCというビジネスモデルモデルなどの本質に切り込んでいる。そのため、飲食業や店舗型ビジネスに携わる方以外にも大いに参考になる一冊となっている。


著者:小川 孔輔(オガワ コウスケ)
 法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授。1951年秋田県生まれ。東京大学経済学部卒業。法政大学経営学部教授を経て現職。日本マーケティング・サイエンス学会代表理事。JCSI(日本版顧客満足度指数)開発主査。主な著書に『しまむらとヤオコー』(小学館)、『マーケティング入門』『ブランド戦略の実際』(日本経済新聞出版社)、『CSは女子力で決まる!』(生産性出版)など。
第1章 迷走するマクドナルド
第2章 マクドナルドはどう誕生し、世界最大の外食チェーンに成長したのか
第3章 マクドナルドのビジネスモデル
第4章 原田マクドナルドの経営改革
第5章 原田マクドナルドの戦略転換
第6章 悪夢の3年:客はどこへ消えたのか?
第7章 マクドナルドに未来はあるのか?

要約ダイジェスト

迷走するマクドナルド

 2014年夏、日本マクドナルドに激震が走った。鶏肉の一部仕入れ先で、使用期限切れ鶏肉を使用していた問題が発覚したのだ。

 消費者には動揺が広がり、8月の既存店売上高は、前年同月比25.1%減と2001年の上場以来最大の下げ幅となった。さらに、2015年1月には異物がポテトやナゲットに混入していた事実が発覚し、信頼回復への道のりは依然険しい。

 使用期限切れ鶏肉問題が発覚する前から、日本マクドナルドの業績は大きく落ち込んでおり、2013年12月期決算では、上場以来最大幅の減収減益だった。日本マクドナルドはいま、創業以来最大の危機を迎えている。

 1971年に創業し、

続きを読むには会員登録が必要です。

© 2023 ZENBOOKS,Inc. All Rights Reserved.
要約記事は出版社または著作者から適法に許諾を取得し、作成・掲載しています。本記事の知的所有権は株式会社ゼンブックスに帰属し、本記事を無断で複製、配布、譲渡することは固く禁じます

特集